本書では,理工系の学部学生や大学院生が日本語でのレポートや論文を執筆する上で,基本的に必要だと思われる項目に絞って,コンパクトにまとめてみました。そのため,どちらかというと出力の見栄えや商用印刷に関係すると思われる項目,『誰でもできる やさしいTEX 入門』にあったページレイアウトやフォントについての章は全面カットしてあります。
1章から順番に読んでいかれてもいいですし,インストールや基礎が分かっている方は,必要な項目をリファレンス的に引かれてもいいでしょう。
一部文書やサンプルデータなどは『誰でもできる やさしいTEX 入門』と同じものがありますが,全面的に内容を見直し,基本的には新たに書き起こしています。ただし,『誰でもできる やさしいTEX 入門』をお持ちの方,理解されている方にとっては本書は重複する部分が多いことをお断りしておきます。
また,本書ではできるだけ簡単にLATEX を使えるよう,インストールや設定で悩まないことを目指しています。実は『誰でもできる やさしいTEX 入門』では,少なからぬ読者の方からEmacs やCygWin にかかわるインストール,環境設定についてお問い合わせをいただきました。Emacs はUNIX 環境では標準的な高機能エディター,CygWin はWindows でUNIX ライクな環境を実現するソフトウェア集です。これらは使いこなせば便利なものですが,Windows しかご存じない方にはハードルが高いようです。そこで,本書ではWindows で一般的なアプリケーションを使うことで,トラブルをできるだけ減らすようにしました。