カラー・コードって何だ?
ユビキタス社会の新しい基盤
- 日高 昇治/楠田 哲也/佐藤 芳春/遠藤 広行 共著
- 判型 A5判, 176頁,
- 本体価格 1,400円
- ISBN 978-4-87783-249-0
本書について
2009年1月のことであったが、筆者が何気なく見ていたテレビにくぎ付けになった。それはテレビ東京の「ガイアの夜明け」というビジネス番組である。日本のあるベンチャー企業が「カメレオンコード」という名前の新しいタイプの自動認識技術を開発して実用化を進めており、ベンチャーキャピタルが投資をするか検討しているという内容であった。
この認識技術は、単にバーコードをカラーにしただけというものではなく、赤、青、黄などのブロックを2次元に配列しており、2次元カラーコードとでも呼ぶべきものである。
この技術は、まだそれほど広く普及しているわけではないが、ICタグの課題を解決する機能を備えており、大いに期待ができる技術である。ICタグと同様に複数のタグを同時に処理できるし、読み取り速度でICタグを上回るものも出てきている。また、タグの価格はバーコード同様に限りなく無料に近く、故障もない。特殊な読取装置は必要なく、市販のビデオカメラやデジカメでかまわない。
テレビにくぎづけになったのは、このカラー・コードがICタグの課題を克服して、将来ユビキタス社会のインフラの1つとなるかもしれないと感じたからである。ICタグの技術を否定するものではないが、カラー・コードには自動認識技術の新しい応用分野が開ける可能性を感じる。また、この技術を開発したのが日本のベンチャー企業であるというのもうれしい話である。これまで、コンピュータにしてもインターネットにしても、情報通信技術はほとんどがアメリカからやってきた技術である。日本発の技術が世界のユビキタス社会の基盤となるかもしれないというのは、それだけでもわくわくすることである。
本書は、ICタグに代わる新しい自動認識技術である「カラー・コード」の内容を紹介し、その普及に資することを目的としている。
目 次
- 第1章 カラー・コードとは
- 1.1 カラー・コードの定義
- 1.2 カラー・コード登場の背景
- 1.3 カラー・コードの特徴
- 1.4 業界の動き
- 1.5 ユビキタス社会での位置づけ
- 第2章 いろいろな自動認識技術の比較
- 2.1 自動認識技術の歴史
- 2.2 カラー・コードの類似技術との比較
- 第3章 カラー・コードの応用分野
- 3.1 カラー・コードは幅広い分野に 応用できる基礎技術
- 3.2 ヒトの管理——ICカードの代わりとして
- 3.3 複数同時処理が可能
- 3.4 動いていても認識できる
- 3.5 カラフルで楽しいコード ——エンターテイメント性
- 3.6 遠くからでも認識可能
- 3.7 位置情報も同時に取得できる
- 3.8 「色分け」にも使える
- 3.9 バーコード的な使い方
- 3.10 QRコード的な使い方——白黒の世界
- 3.11 ICタグ的な使い方
- 3.12 まとめ
- 第4章 カラー・コードの業界動向
- 4.1 カラージップ株式会社——カラーコード
- 4.2 ビーコア株式会社——カラービット
- 4.3 株式会社シフト——カメレオンコード
- 4.4 マイクロソフト社——Microsoft Tag
- 4.5 製品比較
- 第5章 カラー・コードの具体例——カメレオンコードの事例
- 5.1 カメレオンコードの概要
- 5.2 カメレオンコードの使用用途
- 5.3 カメレオンコード事例紹介
- 第6章 ユビキタス社会と認識技術
- 6.1 モバイルによるユビキタス社会の急速な進展
- 6.2 ユビキタスにおける「入力」と認識技術
- 6.3 ユビキタス社会における個体識別と認証
- 6.4 ユビキタス社会の光と影
- 6.5 認識技術の残された課題とユビキタス社会の未来