組み込みシステム実践入門 —μITRON4.0準拠
SH-4とTOPPERS/JSPによる組み込みシステムの構築
- 著者 田中典翁、協力 北山洋幸
- 判型 B5変型判、464頁
- 本体価格 5,600円
- CD-ROM付き
- ISBN 978-4-87783-188-2
本書について
μITRON仕様のベースとなる学術的裏付けやTOPPERS/JSPそのものの実装方法等の知識は大切なのですが、今から組み込みシステムを勉強して、実際にCPUボードを動かしてみよう、と思う組み込みシステム初心者にとっては敷居が高いのは否めないと思います。
それで本書では、μITRONやTOPPERS/JSPのエキスパートの方々のお叱りを覚悟で、学術的または理論的な説明はなるべく行わず、一つのCPUボード向けにTOPPERS/JSPのポーティングの全工程を省略することなく説明してみよう、というものです。本書に掲載している処理の経過を示す実行時ログは、途中を省略しているものもありますが、ソースコード等は全く省略していません。したがって、インターネットに接続している読者は、本書とターゲットとなるCPUボード等だけがあれば、本書に従って作業することによってそのCPUボードでTOPPERS/JSPを動かすことができます。
本書の対象読者
● C言語によるプログラミングができるプログラマ
● 組み込みシステム用CPUボードに新規にTOPPERS/JSPをポーティングするための手順を勉強したいエンジニア
● TOPPERS/JSPで組み込みシステム用アプリケーションを開発したいエンジニア
● TOPPERS/JSPの内容を理解したいエンジニア
● μITRONの仕様を理解したいエンジニア（μITRON仕様の一部を説明しています）
目 次
- 第1章 今から触れるもので何ができるの？
- 1.1 μITRON4.0って何なの？
- 1.2 TOPPERS/JSPで何ができるの？
- 1.3 SH-4/SH7750Rで何ができるの？
- 1.4 SH-4/SH7750Rの物理アドレス空間は？
- 1.5 SH-4/SH7750Rのレジスタは？
- 1.6 MS104-SH4で何ができるの？
- 1.7 MS104-SH4のメモリ配置とレジスタは？
- 1.8 MS104-SH4のコネクタとSH7750Rの関係は？
- 第2章 開発環境の話
- 2.1 開発環境って何？
- 2.2 開発環境に必要な機材（とケーブル類）は？
- 2.3 SH CPU用のクロス開発環境をどうやって使えるようにするの？
- 2.4 Cygwinのアンインストールはどうするの？
- 2.5 Cygwinをどうやって使えるようにするの？
- 2.6 楽に構築できないの？ − その1
- 2.7 楽に構築できないの？ − その2
- 2.8 binutils、GCC-CORE、newlibのダウンロードと展開は？
- 2.9 binutilsのインストールは？
- 2.10 GCC-COREのインストールは？
- 2.11 newlibのインストールは？
- 2.12 Insightのインストールは？
- 2.13 GDBスタブのインストールは？
- 第3章 MS104-SH4をどうやって動かすの？
- 3.1 ここでは何をするの
- 3.2 PCとMS104-SH4の接続は？
- 3.3 電源との接続は？
- 3.4 PCでシリアルポート用ターミナルプログラムを起動
- 3.5 MS104-SH4に通電すると？
- 第4章 TOPPERS/JSPを使えるようにするには？
- 4.1 TOPPERS/JSPはどこにあるの？
- 4.2 TOPPERS/JSP1.4.3の内部を探検
- 第5章 TOPPERS/JSPをmakeするには？
- 5.1 TOPPERS/JSPを展開したディレクトリは？
- 5.2 TOPPERS/JSPのmake手順は？
- 5.3 カーネルコンフィギュレータのmake depend/makeとは？
- 5.4 TOPPSRS/JSP1.4.3のサンプルプログラム用ディレクトリは？
- 5.5 configureスクリプトを実行すると何ができるの？
- 5.6 make dependで何ができるの？
- 5.7 makeで何ができるの？
- 5.8 make depend、makeで作られたファイルの削除は
- 第6章 sample1は何をするの？
- 6.1 sample1をどうして調べるの？
- 6.2 μITRON4.0の仕様は？
- 6.3 μITRON4.0の基本データ型は？
- 6.4 μITRON4.0の静的APIとは？
- 6.5 sample1用のMakefileの内容は？
- 6.6 sample1.cfgの内容は？
- 6.7 sample1.cに実装されているタスクの機能は？
- 6.8 sample1.cに実装されているタスク間通信とは？
- 6.9 sample1.cに実装されている周期ハンドラとは？
- 6.10 sample1.cに実装されているCPU例外ハンドラとは？
- 6.11 sample1.cに実装されているタスク例外処理ルーチンとは？
- 6.12 sample1.cに実装されている割り込みハンドラとは？
- 第7章 TOPPERS/JSPをMS104-SH4にどのように対応させるの？
- 7.1 TOPPERS/JSPをMS104-SH4に対応させるための手順は？
- 7.2 ターゲットプロセッサ依存部にSH-4を追加するには？
- 7.3 ターゲットシステム依存部にMS104-SH4を追加するには？
- 第8章 コンソールの入出力はどうするの？
- 8.1 μITRON4.0とTOPPERS/JSPのドライバの構造は？
- 8.2 シリアル通信って何？
- 8.3 MS104-SH4用のシリアル通信用ドライバのコンフィギュレーションは？
- 8.4 TOPPERS/JSPのシリアル通信用ドライバの仕組みは？
- 8.5 TOPPERS/JSPのシリアル通信用のサービスコールは？
- 8.6 MS104-SH4用のタイマ処理はどうなっているの
- 第9章 MS104-SH4用jspのmakeは？
- 9.1 MS104-SH4用のsample1アプリケーションの構築は？
- 9.2 makeしてみたら？
- 第10章 GDBスタブとInsightを使ったデバッグはどうするの？
- 10.1 GDBスタブはどこからダウンロードするの？
- 10.2 MS104-SH4用にGDBスタブの変更は？
- 10.3 MS104-SH4用GDBスタブのmakeは？
- 10.4 GDBスタブのMS104-SH4へのインストールは？
- 10.5 GDBスタブの起動は？
- 10.6 GDBスタブとInsightの接続は？
- 10.7 sample1アプリケーションの指定とダウンロードは？
- 10.8 「Source Window」のメニューやツールバーはどうなっているの？
- 10.9 sample1アプリケーションをMS104-SH4で動作させると？
- 10.10 デバッグが完了したら？
- 第11章 MS104-SH4 HUDIアダプタを使ったデバッグはどうするの？
- 11.1 H-UDIって何なの？
- 11.2 MS104-SH4 HUDIアダプタは？
- 11.3 XrossFinder for MS104-SH4を使ってみよう
- 11.4 FlashWriter EX for MS104-SH4を使ってみよう
- 第12章 MS104-SH4の外部周辺モジュールにアクセスするにはどうするの？
- 12.1 MS104-SH4が持つ外部周辺モジュールは？
- 12.2 MS104-SH4のモニタLEDへのアクセスは？
- 12.3 MS104-SH4のPC/104バスにアクセスするには？
- 第13章 応用編・IEEE1394の実装
- 13.1 IEEE1394概論
- 13.2 ハードウェアの構成
- 13.3 ソフトウェアの構成
- 13.4 動作実験の様子
- 13.5 FPGA拡張によるファームウェアのハードウェア化
- 13.6 類似ボードとTOPPERS/JSP移植の工数
- 第14章 組み込みシステムとμITRON4.0に関わる技術的な話
- 14.1 汎用のオペレーティングシステムとリアルタイムオペレーティングシステムの違い
- 14.2 リアルタイムオペレーティングシステムの中でのμITRONの位置付け
- 14.3 タスクが取り得る状態
- 14.4 タスクスケジューリングとタスク優先度
- 14.5 タスク間通信と同期処理・排他処理
- 14.6 優先度逆転
- 14.7 デッドロック
- 14.8 ブートローダとスタートアップルーチン
- 14.9 ポーリング処理と割り込み処理
- 14.10 例外処理
- 14.11 非volatile変数とvolatile変数
- 14.12 キャッシュ領域と非キャッシュ領域
- 14.13 CPUによるデータ転送とダイレクトメモリアクセス（DMA）によるデータ転送
- 14.14 ビッグエンディアンとリトルエンディアン