「うちの当主はとても愚かな人だ 」 秘伝絶技を使用する甘粛の家門の最上位「甘粛楔家(かんしゅくせつか)」の使用人・慈雲葉(じうんよう)はそう思っていた。 新しく迎えた妻・推傘美(すいさんみ)にうつつを抜かし、彼女にいいように使われる当主の姿はそうとしか言いようがなかった。 そんな当主とは真逆な人柄の公子・楔秀帆(せつしゅうぼん)を推傘美の陰謀から救ったのは雲葉だった。 推傘美に復讐を誓い力をつけるために甘粛楔家を離れる楔秀帆。 そしてまた、慈雲葉も甘粛楔家を離れ自分の道を歩むこととなる。 自分だけの武功を修練し高手となった慈雲葉。 そんな折に再会した楔秀帆は、慈雲葉が毛嫌いしていた邪魔の剣法へと歩みを進めていた。
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