浮月堂黄昏抄

風流候・原田浮月堂の花鳥風月な日々

ヘチマコロン

No.4171(再)
【おれの愛用品】
「ヘチマコロン」

化粧水や乳液の類いはあまり使用しないのだが、唯一ヘチマコロン株式会社のヘチマコロンだけは愛用している。

ヘチマコロンは大正4年に発売された歴史ある化粧水だ。ヘチマコロンとは天然のヘチマに溜まる水分で、昔から美肌に効果があると言われてきた。確かに微かに匂う香りとサッパリした使い心地はいいんだ。

ヘチマと聞いて思い出すのは俳人歌人正岡子規だろうか。彼の命日9月19日を糸瓜忌(へちまき)と呼ぶ。 これは「糸瓜咲きて痰のつまりし仏かな」など、絶筆となった3つの句にヘチマが詠みこまれていることにちなんでいる。

 

「いつだって喫茶ドードーでひとやすみ。」

No.4170
【今日も読書】
「いつだって喫茶ドードーでひとやすみ。」

久しぶりに標野凪の〈喫茶ドードー〉シリーズの3作目「いつだって喫茶ドードーでひとやすみ。」を読む。

どんなにがんばっていても、やりきれない気持ちになるときがある。他人と自分を比べて嫉妬してしまうアパレル会社勤務の女性、何かと白黒つけてしまいがちな保険会社勤務の女性。おひとりさま専用カフェ「喫茶ドードー」には、さまざまなお客さんが訪れる。彼女たちは、店主の作る「あなたの悩みに効くメニュー」にそっと背中を押され、自分の力で悩みに答えを見つけていく。喫茶ドードーが今日もがんばっている人の居場所になれますように。心がほぐれる連作短編集、シリーズ第三弾!

3作目の喫茶ドードーもよく出来ていた。しかし1作目2作目に比べて、登場人物(女性)が各章ごとに出たり引っ込んだりして、少し読みにくい。また、喫茶ドードーのマスターのそろりがいつもより登場が少ないのもどうか。そろりが影響を受けた本が、ソローの「森の生活」だったのは好感が持てるんだが。

 

「お砂糖ひとさじで」

No.4169
【今日の読書】
「お砂糖ひとさじで」

初めて松田青子(まつだあおこ)のエッセイ「お砂糖ひとさじで」を読む。この人のことは知らなかったが、なかなか面白かった。

小さなことへの喜びや楽しみ。それこそが、自分。メアリー・ポピンズの映画に出てくる歌「お砂糖ひとさじで」。そこでは、小さな工夫で日常がどれだけ楽しくなるかが歌われる。ひとさじのお砂糖で、苦い薬も飲めるようになる。そんなふうに気持ちを軽くしてくれる、魔法の呪文のようなエッセイ。お気に入りのアイテムやちょっとした発見、ずっと変わらず好きなこと、新たに好きになったもの、時には疑問や怒りも。あらゆるもので日々は織り成されている。『PHPスペシャル』の好評連載を書籍化。

実に面白かった。かなり以前に読んだ群ようこの初期のエッセイを彷彿させるものだった。40代半ばの女性の考え方、こだわり、気になることがよくわかった。特にトートバッグについての話は身につまされた。

 

TIMEXウィークエンダー

No.4168(再)
【おれの愛用品】
TIMEXウィークエンダー

数年前の誕生日に、GFにいただいたTIMEXウィークエンダーを愛用している。

TIMEXアメリカの時計のトップメーカーだ。ウィークエンダーはリボンベルトの人気を作った時計でもある。時計のベルトによく使用されている革や金属、シリコンゴムと違い、リボンベルトは簡単に他のリボンベルトへの変更が可能なのである。それに加えて夜でも使えるように電気が点くのだ。なかなか便利だ。

ウィークエンダーとは週末旅行者という意味だ。いかにもアメリカの真面目な大学生が持つようなアイビーな時計だ。おれは真面目ではないけれど。  

 

リーチバー

No.4167(再)
【今日のBAR】
「リーチバー」

大阪中之島には、高級ホテルの代名詞にもなるリーガロイヤルホテルがある。この1階にある有名な老舗のBARがリーチバーだ。

リーチバーは、イギリスの陶芸家にして画家のバーナード・リーチのイメージを構築している。だからリーチバーであって、女性を籠絡してリーチをかけるためのBARではない。当たり前だ。
30代に勤務したメーカーが創立記念パーティーリーガロイヤルホテルで開いたのだが、その準備で前日にホテルにいたので、夕方にリーチバーに寄ってみた。シングルモルトの水割りと角瓶のハイボールを飲んだのだが、やはり老舗だけあって美味しかった。しかしホテルのBARだけあって料金は高かった。まったく(怒)

やはりホテルのBARは、事前に部屋を予約してから女性と行くためのものだ。ホテルのBARで飲んで、外に出るのは野暮ですよ。わかりましたか。

 

 

「海上自衛隊の極旨カレーレシピのひみつ」

No.4166(再)
【今日の読書】
海上自衛隊極旨カレーレシピのひみつ」

平和主義なのだが海上自衛隊が好きだ。昔は帝国海軍が好きだった。好きなのは昔の戦艦・潜水艦の造形とメカニックで、今はイージス艦を主軸とする護衛艦等だ。

よく聞く話だが、海上自衛隊は海が活躍の場なので曜日の感覚を忘れないために金曜日にカレーが供される。
海上自衛隊極旨カレーレシピのひみつ」(PHP研究所・編)は護衛艦、潜水艦、輸送艦等に、基地などで人気のカレーのレシピをわかりやすくまとめている。どのカレーも作り方に凝っており絶品な味だろうと予測できる。

意外にも海上自衛隊で隊員に供されるカレーは、統一レシピではなく、艦や基地によって全て異なる。乗艦する船によって勤務期間中は違うカレーが食べられる。本誌は家庭でも海上自衛隊の自慢のカレーが作れるようにな詳しく説明している。
ちなみに金曜日にカレーを出すことを決めたのは帝国海軍の雄・東郷平八郎元帥だ。

 

「【持たない】」

No.4165
【今日の読書】
「【持たない】」

枡野俊明の本を読む。枡野俊明は庭園デザイナーであり、曹洞宗徳雄山建功寺住職でもある。うちは浄土真宗だが、30代から禅宗に影響を受け、その考え方はその後のライフスタイルの根幹にもなっている。

次々に発売されるスマートフォン、パソコン、自動車、高級時計、最新家電、ブランド品。便利さと華やかさを基準に豊かさを測れば、現代は最高に豊かな時代と言えるでしょう。
日本は人口減少が危ぶまれているのに、それでも新築の戸建住宅やマンションのCMもやむことはありません。「30代でマイホームを建てたい」「電気自動車に買い替えよう」「ゴルフクラブセットくらい持ってないと」それらは、あなたにとって本当に必要でしょうか?[持つ]ことは苦悩の始まりです。それは夫、妻、親、子供、恋人、親戚、ペットに始まり、友人、上司、同僚との人間関係も一緒。すべてを捨て去ることできないかもしれませんが、禅的思想で苦悩をやわらげていきましょう。

枡野俊明の禅の考え方は優しくわかりやすい。彼の本を読むたびに、新たに気付かされることが多々ある。生きている限り、物欲などは100%は抑えられないが、物への執着を捨てることや、人への優しさは僅かでも考えたくなる。