現代人の健康を保持増進するうえで医薬品を大きな役割を担っていますが、有効性と安全性のバランスの上に成り立っているという性質上、添付文書の指示にしたがって適正な使用を行った場合でも、絶対に副作用を防止できるというわけではありません。そのため、医療機関で処方された、あるいは薬局で自分で購入した薬を適正に使用したにも関わらず、副作用で健康被害をこうむった場合には、医療費等の給付で被害者の救済を行う「医薬品副作用被害救済制度」が創設されました。
この制度で請求できる給付には、医療費、医療手当て、障害年金、遺族年金、遺族一時金などがあり、請求できる期限やその資格のある人が定められています。対象はあくまでも添付文書に記載されている用法・用量および使用上の注意に従って使用された場合に限られます。つまり、添付文書に効能効果のない病気に自己判断で使用した場合などは救済の対象外となります。
被害者やその遺族等に支払われる医療費は、製薬企業から納付される拠出金が充てられます。請求は健康被害を受けた本人かその遺族が医薬品医療機器総合機構に対して直接行いますが、医師の診断書等が必要となるので、まずは医師や薬剤師に相談する必要があります。
医薬品の副作用の危険因子としては、複数の併用、代謝能力が十分ではない乳幼児、肝臓の代謝機能が落ち、かつ腎臓の機能低下で体外への排出が難しくなる高齢者、妊娠、授乳等があります。遺伝的な要因で特定の薬の毒性作用に敏感な人もいます。副作用と思われる症状が現れた場合には、速やかに医師や薬剤に相談しましょう。