数年前の話。
そのお友達がインフルエンザにかかった。
たまたま歳の瀬で実家に帰省していて、地元の病院に行って薬をもらいその日は早めに床に就いた。
その夜未明、けいれん性の発作を起こし、間もなく心停止のまま蘇生措置を施されながら緊急搬送され何とか一命を取り留めた。
医者曰く、インフルエンザによる脳症だとのこと。
即 ICU に運ばれ24時間管理体制のもと、1日半の昏睡状態からやっと意識が戻った。
肝機能、腎機能障害に肺炎併発...2か月入院の後、無事退院できた。
それから暫くして彼はあるお友達に会う約束をした。
そのお友達は、いわゆる普通の人には見えないようなものが見えるという特技?を持っていた。
当然そのお友達も彼の病状は知っていたのだが、その時ふとこう言ったそうな。
" 言おうかどうか迷ってたんだけど、
君のおばあちゃんて本当に腰の低い優しいひとだね。
いつも君と会う度 おばあちゃんが君の右側にいて、うちの孫をよろしくお願いしますって、 頭を深々下げて毎回言われるんだ。"
彼はいきなりそう言われてビックリしたそうな。
" それとね、
君が死に直面してたその時、左側でお母さんが半狂乱になりながら心臓マッサージを息子にしてる、
その反対の右側で、ずっとおばあちゃんが君の右手を握って、大丈夫だから 心配ないからって、 君に声をかけ続けてくれていたんだよ。
君をこちら側に返してくれたのはおばあちゃんだよ "
彼はおばあちゃん子だった。
小学生の頃に母親が大病を患って入院しがちだったことで、
鍵っ子だった彼を心配しておばあちゃんが田舎から彼の面倒を見に上京してきてくれたらしい。
今では経過治療中ながら特に不自由なく元気で暮らしている。
その時、彼がふと言ったことが印象に残っている。
" みんな軽い風邪だとか、たまたま体調が悪い日だからとか無理をしがちだけど、
もっと自分自身を大事にしてあげた方がいいと思う。
もし、あれが普段の日だったら、実家に帰ってなかったら、とか今でも思うよ。"
そう言って笑った。
" 自分を大事に思ってくれてる人はたくさんいる。
それはたぶんこちら側のひとでも、あちら側にいったひとでも
なんら変わらず。"
Nikon FM2, Ai Nikkor 35-70mm f/3.3-4.5
P.S. I'm sorry this text is in Japanese only...