【早出し】新紙幣、初日に欲しくて 20年ぶり発行、県内の金融機関混雑

新紙幣発行の初日には多くの人が両替に訪れた山形銀行本店営業部=山形市

 20年ぶりに新たな紙幣が発行された3日、県内の一部金融機関でも県民への引き渡しが始まり、窓口では一時、順番待ちができた。新紙幣を手にした人は角度を変えて眺めたり、光にかざしたり。世界初の偽造防止技術という3Dホログラムや高精細なすかしを興味深そうに観察する人が多く、記念のお札をいち早く懐にした喜びが広がった。

 山形銀行本店営業部(山形市)は県内の金融機関で最も早い午前10時ごろ、新紙幣の取り扱いを始めた。この日を待ちわびた顧客が次々に訪れ、口座からの引き出しや両替によって新札を受け取った。

 天童市田麦野の村山剛さん(64)は午前9時ごろから順番待ちに加わった。5千円札と千円札を両替し、「どのようなデザインか見たかった。ホログラムが面白い。しばらく手元に置きたい」と笑った。

 10枚以上を両替する人も多かった。普段はキャッシュレス派で、現金を手にする機会は少ないという山形市あさひ町の岡崎恵子さん(38)は「新紙幣は初日に手に入れなくちゃと思って」駆け付けた。折り目のないお札を手にすると、「きれいでワクワクする。記念に子どもにも渡したい」と大事そうに抱えた。

 同行は本店営業部でATMコーナーの両替機2台を新紙幣専用にし、窓口でも両替専用席を設けた。営業部門の行員が対応に当たったほか、事務部門の行員も応援に入ったが、午前10時10分過ぎには両替が15人以上待ちになり、急きょ窓口を増設して対応した。

 本店営業部は通常でも混み合う店の一つだが、3日午前は一段と混雑した。事務統括部の長浜律子調査役は「新紙幣を楽しみにしていたお客さまが多く、あまりお待たせしないように対応した」と話した。

 日銀によると、仙台支店管内の山形、宮城、岩手3県の金融機関には初日に計約795億円が引き渡された。県内ではこの日、同行本店のほか、荘内銀行が鶴岡市の本店営業部で午後から取り扱いを始めた。共に窓口やATMで新紙幣に関するトラブルはなかった。他の金融機関も4日以降、準備が整い次第、取り扱いを始める。

新紙幣発行の初日には、多くの人が銀行に訪れ両替をしていた=山形市・山形銀行本店営業部

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